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+++2008+++
+++6/5+++


「光陰矢の如し」
誰が言ったか知らねぇが、月日の早さは対象との関わり方によって変化する。
関係性が消失していれば懐かしさは増し、月日が早く感じる。
関わりを積み重ねと捉えていれば、その日々は重く長く感じる。
例えてみよう。
三年ぶりに再会した旧友と会話する時にこんなやり取りが発生するだろう。
「久しぶり〜」「前に会ったの何時だったっけ?」「三年前じゃない?」
「そっか、早いね〜!!」
三年間捜し続けた親の仇をようやく見つけだした時にこんな事を思うだろう。
「やっと見つけたぜこの野郎」「仇を捜し続けた長い月日」
「積年の怨み今こそ晴らしてやる!!」
同じ三年間でも対象との関わりは感覚を大きく左右する。
対象との関係が過ぎ去れば懐かしさすら覚えるのが常だが、
喉元過ぎれば忘れるって熱さも、時には忘れられず膓が煮えくり返る事態になる。
だからこそ、罪と恐怖は過去からやってくる。

さて、そんな感覚を自分に置き換えてみようか、俺。
REFUSEをスタートさせて9年半。
REFUSEとしてSHOPをスタートさせて9年間。
店を構えると色々な奴等がやってくる。
そいつは何も新たな事象や出会いや遭遇だけじゃない。
「過去からの訪問者」って呼ぶべき関係性を消失していた人々。
昔の友人、昔の恋人、昔の先輩、昔の後輩、昔の知り合い、昔の親戚、昔の兄弟。
一体全体身体痛い交通事故。
今までにどれくらいの過去からの訪問者がやって来た事だろう、俺。
中にはまるで知らない奴が友人だか恋人だとか親戚だと言って訪ねてくる。
そいつ等の目的が何なのかは、門前払いで知りゃしねぇ。
用事があるなら過去の俺を捜して相手してもらいな。
過去からの訪問者に対して恐怖は無いが罪はどうだろう?
昔ケンカした相手。ケンカ両成敗って事で。
昔ナンパした相手。まぁ、お互い楽しんだって事で。
昔放火した単車。どうせいつかは燃え尽きたって事で。
昔ぶっ壊した車。新車を買ういい機会になりましたって事で。
その他諸々やったりやられたりの相手が罪を訴えて来たら?
オーケー、オーケー。罪ならば全部認めよう、俺。
だけど罰を受けてる暇は無ぇから死んだら相手してやるよ。
うむ、罪と恐怖は過去からやってきてない。
おっと違った過去からの訪問者は罪でも恐怖でもない。
罪と恐怖を運んでくるだけだ。
それがどう言う事かと言うとだな・・・・。

むか〜しのヤンキーってさぁ。
通り名とか異名が付けられてる場合が多かった。
「二中の〜」とか在学してる校名が先頭に付く奴、
「ドラゴンの〜」とか所属してる族名が先頭に付く奴、
「パンチの大柴」とか特徴が先頭に付く奴、
他にもケンカの時に必ずバット振り回す奴がいて、
そいつの異名は
「赤鬼ホーマー」だったと思う。
だけど、漫画みてーな「南海の黒豹」とかは流石に少なかった。
だいたいが特徴を捉えて、異名を付けるんだけどよ。
俺の場合は名前が特徴的過ぎたのか、
社長・組長・隊長・八百長・馬鹿蝶とか「ちょう」って付く呼び方されてた。
行動・容姿の特徴から呼ばれたので憶えてるのは
デストロイヤー・ライオン丸・毒チンポ・暴れん坊将軍とかそんなんだ。
どれもこれもロクなもんじゃねー。
今でも忘れらんねー先輩で
「シャーク鮫島」って人がいて、
周りからいつも
「シャークさん」とか呼ばれてた。
でも、よく考えてみたらその先輩の名前は、
「鮫島」じゃなくて「石田」とかだったはずで、
何故「シャーク」になったのかまったくの謎だ。それに比べりゃマシだ、俺。
別に自分が特別ヤンキーバリバリでした。
とか、思って無ぇし、いつまでたっても群れ成してんのが嫌いで、
独りで好き勝手やって気狂い扱いされんのが日常ってぇのだった。

先日、そんなどーしよーもねぇ十代中盤戦の俺を知る、過去からの訪問者。
名前を聞いても思い出せない。
話を聞いても覚えの無い事ばかり。
話を聞いてる内に兄弟分の名前が出て来てようやく思い出す。
そうだった、この人は高校一年生の時の先輩だ。
でも、その当時の関係性が皆目思い出せません。
と、いうよりもその当時の学校での記憶があまりありません、俺。
何も憶えていない原因は何なのか?
正直にその先輩に聞く。

俺「何も憶えていません」
先輩「何で?あっそうか、アンタいっつも酔っ払ってたもんね」

そうだ。そうだった。
その当時、学校には俺専用個室を確保していて、
スーパーの倉庫を破壊して盗み出した大量のバーボンがボトルキープされてたっけ。
朝まで呑んで記憶無くって登校してて教室で鍋やりながら呑んで寝て、
遊びに行って呑んで暴れて記憶無くなるまで呑んで朝。
そーいやーそうだった15歳の、俺。
どうりで学校でしか会ってないような先輩は憶えてねぇよな。
関係性を一方的に消失してるのが罪だと言うなら認めよう。
だが、それは過去の俺が負うべき罪。
今の俺が謝罪したところで仕方があるまい。
突然の過去からの訪問者である先輩を現在の訪問者にするべく近況を話す。
幸い共通の友人がいる事もあって会話がスムーズになりだした頃。
先輩がこう言った。
「アタシ、昔の写真持ってるよ」
と、同時に差し出された写真に写っている男。
アイロンパーマで悪い目付きに変型学生服、
そして左手には長ネギ、俺。

長ネギ!?
何で?長ネギ!?

アイパーは憶えてるよ、そうそうアイパーはね、俺。
学校で問題起こして、ロン毛を切れって話になったから、
短けりゃいいんだろってアイロンパーマでヤクザみてーになったのはね。
そして、そのままの髪型で金髪にして後悔したのもね。
でも、長ネギ・・・・。
まるで憶えていない。
その先輩に聞いても、理由は知らないと言う。
・・・
・・・・・
・・・・・・・あー、アレかな−・・・。

その当時はやっぱ
「長ネギ・アイパーの高蝶」とか呼ばれてたのかな。
やだなー。そんなヤツいたら嫌だねー。
ケンカの時に長ネギで相手を殴って。

「お前も畑に植えてやろうか!!」とか言ってたのかなー。
それとも夜な夜な酔っ払って。
「今宵のネギは血に飢えておる」とか暴れてたのかなー。

うおーっ。憶えてねぇ−!!嫌だな−恐ぇーよ。
恐怖が過去からやってきやがったぜ、俺。
恐いのは過去からの訪問者じゃなくて、過去の自分だ。
なっ、罪と恐怖が運ばれてきたっしょ?っしょ?


そんな過去など忘れる為にもREFUSEの9周年イベントには長ネギは持ってくるなよ。



+++6/18+++


9周年とかってさ、
祝ってもらう為に催したりするモンだと思うんだけど、俺。
何でかどうでかドーベルマン刑事。
色々と振舞ったりしたりしてやったり。
イベントの翌日には首から肩に掛けてパンパンに腫れて痛みが拍手喝采。
まぁ、江東区森下なんて辺鄙な土地にわざわざ集まってくれるだけでも、
感謝の意を示したい、俺。
だけれども、来年まで生き残ってたら盛大に祝ってやって貰いたい。
そんなこんなで、ありがとさんでした。

さて、先月から撮影だとか打ち合わせだとか色々あったが、
すでに夏に行うイベントの事が雑誌に掲載されてたりする。
詳しい内容については今はまだ触れないでおきたいので暫くお待ち頂いて、
ツアーと単発のイベントの違いを簡単に説明しておこう、俺。

「LOUD STYLE」なツアーってのは、内容も勿論の事だが、
一つのツアーを通してのテーマやコンセプトがあって、
重要なのは、ツアーによって何を創り上げるかだった、俺。
そいつは一つの物に対してだけじゃ無く、
空間や時間や現象や世界だって事は、散々って程に過去にも触れて来た。
現実的にソレが何なのかってのは参加した人間と俺達にしか解らないだろうが、
目に見え易いのがREFUSEの「GALLERY」であり「FUCKTORY」って場所だ。
加えて言うなら「THE NUMBER OF THE FUCKER」ってコレクションもそうだし、
「ONE MAKE & CUSTOM」ってのの重要性が生まれたのもツアーがあったからだ。
そんなツアーに終止符を打った理由は、今更言うまでも無い。
そんなツアーじゃなくて単発のイベントだとどうなるのかって話。
単純にツアーの場合は、イベント内容に多少の違いはあれど一貫してた。
LOUD STYLEってのを何処でやるか「ONE STYLE FOR ALL」って事。
じゃなくて、単発のイベントの場合に内容の一貫性は無い。
LOUD STYLEってのが何処とやるか「ONE PLACE ONE STYLE」って事。
「何処で」と「何処と」たった一文字の違いでアクションは大きく変わる。
LOUD STYLEを基にして何処と何を創り出すか?
その為に必要な燃料は何なのか?
「FUEL THE WORST」悪魔に流れる燃料は当然ながらな、俺。

まぁ、イベントをヤルって話になるとよく聞かれるんだが。
他のブランドさんやらのツアーとかイベントに対して思う事はあっても、
公的に某かを言う気はねぇし、否定も肯定も無い。
確かに・・・
増えたよな。ツアーとかイベントやるブランドの方々。
それに伴いイベント要求するショップの方々。
で・・・
別にねぇから。権利の主張も創始の主張も。
次に進んだ俺が、公的に言う事なんかありゃあしねぇよ。
他の誰がツアーやらイベントやろうが、好きにすりゃあいい。
ただ・・・
俺のやり方は、LOUD STYLE。
真似したって他の誰にも出来やしねぇぜ。




+++6/28+++



世の中には「偶然」とか「必然」とかいう言葉がある。
言い換えると「偶然」は奇跡とか思いも有り得ないとかになり、
対するに「必然」は運命とか因果応報とかになる。
しかし、よく言われる言葉に「運命とは偶然の重なりあい」なんてのもあるし、
逆に「世の出来事は全て最初から定められた必然」なんて言葉もあったりする。
要するに此れは、一つの事象に対しての二極の捉え方。
どっちが正しいか間違いかは個人の判断になるのだろうが、
少なからず知らない人・可能性を考えない人にとっては、
某かが起った時に「偶然」の比率が高くなり、
すでに先刻承知の人・可能性を予測する人にとっては、
某かの結果に対し「必然」の比率が高くなる。

と、したい所だが実は違う。
先刻承知・可能性を予測していても起った事象を「必然」とは言えない。
そういった場合は「当然」と捉えるべきだろうし、
それに対する言葉といえば「突然」となってくる。
予測通りの結果は「当然」で、予期せぬ出来事は「突然」だろう。
しかし、如何に思慮深く知識が有り予測能力の高い人でも、
万物の流転を捉える事は不可能だ。
それ故に人間にとって「偶然」は奇跡と成り得るが、
不可能が故にその対は「当然」でしか有り得ない。
つまり、「必然」という絶対は不可能の中にしか存在しない。
人間の限界が奇跡って存在を生み、神の法だの何だのって話になる。
信仰心や奇跡を信じる人を馬鹿にする気も否定する気も有りません、俺。
しかし、知らないが故の「偶然」を「必然」と捉えて、神の存在を語る人もいる。
それじゃあこんな話はどうかな。


交通事故によって首をしたたかに痛めてしまった、俺。
それが為に標準装備のネックレスをしばらく装着していなかった。
いつものネックレス。
こいつには様々な思い出と物の記憶と理由が在る。
まぁ、そんな話はいずれの機会にしておいて、話を進めよう。
俺のネックレスにぶら下がっているヘッドの一つにスカルが在る。
RAT RACEのゴールドのカスタムヘッドだ。
だいぶ前に創り手が集まった時に戯れにRATのオヤジからパクったら、
「いいよ。高蝶がソレ欲しいんならやるよ」
ってな具合に貰ったモンだ。
何時からか、馴れ合いじゃ無く物を言い合える創り手の皆、
気恥ずかしさを覚えながらも集まる創り手を「身内」って呼ぶ様になった。
気軽さはあっても決して気易くはない間柄。
標準装備のアイテムは身内のモンで固まってる、俺。
そんなアイテムの一つであるネックレスを先日装着しようとして気が付いた。

無ぇ!!

RATのオヤジから貰ったスカルがいねぇ!!

・・・・ヤベ−な、どーしよう。

大切な物を無くした時のショックってのは誰だって大きい。
特にソレが人からの貰い物だったりするとなおさらだ。
増して標準装備してるアイテムには万感の想いがあったりするもんだ。
何故、無くなっちまったのか?原因は直ぐに思い当たった。
事故った時にもネックレスを着けていたから、そん時に吹っ飛んだんだろう。
気が付いて原因の予測も付いたので、RATのオヤジに電話。
親しき仲にも礼儀在り。
事情と原因を説明し謝罪。そして直ぐさま製作依頼。
同じ物は戻っては来ないが、同じバランスで時間を共有出来る物。
すまねぇRATッチャン、よろしく頼む。
事故ったのが五月の初め、気が付いたのが五月の終わり。
そして、つい先日。
深夜の徘徊タイムにナイトラインを描こうと外に出た、俺。
通りまで単車を押してアイドリング。

っと、そこに「偶然」通り掛かったコンビニ袋をぶら下げたボケ面のガキ一人。
仕事柄か人間観察好きからか何時からなのか知らないが、
人が身に着けてるアクセサリーに目が行く。
「当然」その若者が首に下げているスカルのヘッドにも目が行った。
珍しいの着けてるな。RAT RACEのだろう。しかもゴールドか。


・・・・・・・。

ちょっと待て!!

オーケーオーケーオーケーよ。
どっからどう見てもRATファミリー東京支部の人間にゃあ見えないガキ。
「当然」ながらゴールドのカスタムヘッドを持ってるはずがねぇ。
しかし、人を見掛けで判断し過ぎちゃいけねぇ。
ひょっとするとRATファミリー血の誓いを交した若者が、
「偶然」通り掛かったのかも知れねぇ。
失礼のないように。丁重に慎重に。訪ねてみる、俺。

俺「おい、アンちゃん。その首からぶら下げてるスカル何処で手に入れた?」
ガキ「えっ!?何ですか?」
俺「そのスカルだよ。何処で手に入れた?」
ガキ「あっ、コレっすか。この前そこら辺で拾いました」
俺「じゃあ、お前の選択肢は一つだ。潔く首から外して俺に渡せ」

ガキ「はぁ、何でっすか?」

俺「何で?は、お前の選択肢にねぇんだよ」

数秒の沈黙の後、素直に俺の元に戻って来たスカル。
だが、相手のガキにとっては「偶然」通り掛かりにカツアゲされた事になるのか?
いやいや、そんな筈は無い。
拾得物は「当然」ながら持ち主が表れたら返却すべきだし。
ちゃんと「ありがとう。お礼に取っとけ」って100円ライター渡したし、俺。
さて、こうした事象の場合は、
「偶然」だろうか?「当然」だろうか?それとも「必然」だろうか?
戻って来たスカルを奇跡と捉えたり、神の存在を感じたかって、俺?


全然!!



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