2007
6月上旬
REFUSEが創られて8年間という時間が経ちました。
祝福の表し方は様々ですが、感謝は行動で示したいと思います。
我武者らに進んでたら8年間が過ぎてたとは思いません、俺。
「最近、時間が過ぎるの早いね〜」
そんな話を良く聞くが、じゃあいつの頃だったら早く無かったんだ?
振り返らずとも刻まれた重さは、濃密な時間の長さを解らせます。
そうです。
老人の顔に刻まれた皺の深さに戦争の過酷さを感じるようなもんです。
深くなり過ぎた轍のせいで道路の形が変わってるようなもんです。
だから多少の捻くれた性格は許しましょう。
毎度毎度ここで、どーしよーもねぇ文章書いてるのも良しとしましょう。
さて、どーしよーもねぇ話です。

その日は暑い夜になった。
日々、作業に追われ過ごす中で、孤独な一時の休息。
俺にとってのそれは、
映画を観ながらタバコの煙を燻らせ、コーヒーを流し込む。
もしくは、
ガソリンを揺らしながら、風を裂いて進むスピードに身を任せる行為。
暑い夜に身体のダルさを感じ映画を選んだ、俺。
一本60円という缶コーヒーよりも安い中古ビデオをデッキにスロットル。
総合芸術の世界に身を委ね始めた・・・・
その時!
外から耳を劈く女性の叫び声!!

何だ!?何が起っているのだ外の世界は?
総合芸術の世界を飛び出し、外の世界に身を投じる、俺。

・・・REFUSEに来た事がある人ならば解ると思うのだが、
REFUSEの隣には回転寿司のビル。その隣に地下鉄の駅の出入り口。
その出入り口には自動販売機が二台並んでいる。
その自動販売機の前で仁王立ちする女性が一人。
そしてその奥、自動販売機と駅出入り口の間のわずかのスペースに、
いくつかの荷物とスッポリそこにハマった体育座りでスーツの男が一人。



解らない。状況がまるで解らない、俺。
明らかに女性が怒っているのは感じるが、
何故、あんなスペースに体育座りでスッポリとハマった男が
いるのか解らない。
こういった場合は、余計な口出しをするよりも状況を静観するより無い。
・・・しばらくして、怒鳴り散らす女性の言葉から状況を把握。

どうやら、二人は一緒に暮らしていたようなのだが、
飯炊き・掃除・洗濯をまるでしない女性の日々の生活態度に対して、
仕事から帰った男はついに我慢が出来なくなり、荷物をまとめて家出。
地下鉄に乗って実家か友達の家にでも行こうとしたしたが、
時すでに遅し。
終電が無くなっており呆然としたところを
追い掛けてきた女性に見つかり、
逃げ場のない男は追い詰められ、体育座りでスッポリしてしまった。
・・・みたいだ。

女性は暑い夜をさらに蒸し暑くするような声で怒鳴り散らすが、
体育座りでスッポリした男は一言も声を発しない。
そんな状態で30分が経過しただろうか、
いら立ちが沸点に達したのであろうか女性が
スッポリしたところに入り込み、
強引に体育座りを引き起こして外側へとウッチャった!!
すると、さっきまでの体育座りのスッポリがウソのように、
男は猛ダッシュでその場から大通りを左へと逃げ去った。
・・・瞬間的に呆然とする女性。
しかし、直ぐさま沸点まで達した怒りの塊が男を追う。
額に汗して働く女性の姿を美しいとは思えるが、
額に汗して男を追う女性は醜いとしか思えない。

先に逃げ出した男は、大通りからすぐの脇道を左に曲がり、
地下鉄の駅・寿司やのビル・REFUSEの裏を駆け抜けていたが、
怒りのせいで醜くなったばかりで無く、目の前さえ見難くなっていたのか
女性は男が脇道へと曲がった事に気付かずに大通りを駆け抜ける。
裏を廻って再びREFUSE前の大通りへと男が姿を表すと、
置き去りにしていた荷物(鞄二つと段ボール箱一つ)を抱え
道路に飛び出す。
丁度そこに男を捜す女性が戻ってくると、男は慌ててタクシーを止める。
開いたドアから車内へ荷物を放り込み、最後は自分も放り込んで、
体育座りでスッポリとハマって、ドアは閉りタクシーは走り出す。
・・・これにて終了。

と、思いきやサンダルを脱ぎ捨て、猛ダッシュで女性がタクシーを追う。
タクシーのトランクにしがみつこうかという辺りまで追い詰めたが、
スピードに付いていけなかったか、足がもつれたのか、
女性は道路をゴロゴロと転がり倒れた。
怒りか疲労からか苦悶に歪む顔で、
汗だくになり血塗れになっている女性。
・・・そんな女性に
いくら捻くれてても「写真撮らせて下さい」って言えなかったなぁ、俺。

こんなに暑かった夜は、自動販売機の間に体育座りでスッポリとハマって
どーしよーもねぇ映画を観終わった気分に浸ろう。

2007
6月中旬
「俺達みたいなのは気を使うよな」

いつだったか、北原組長とそんな話をしてた。
ただでさえ見た目の時点で人から嫌がられやすい外見。
昔っから重々承知で生きてます。
喧しい単車に乗り、幾つになっても不良かロクデナシの服装。
髪をしっかり整え、スーツ着てても極道かマフィアにしか見えず、
作業着になれば土木でしか無い。
脱いでも、刻み込んだ黒い模様で騒がしくて温泉にも入れません、俺。

まーまーまーまー、
好きでやってる自分の生き様、人様にまで押し付けようとは思いません。
通りを歩いてて人にぶつかっても、
ちゃんと「ごめんなさい」って言います。
それでも東京都江東区界隈だと評判が悪過ぎて苦労してます、俺。

えーえーえーえー、
知ってますよ、言われなくても解ってますよ。
たま〜にREFUSE前に停まってるチャリンコ、
道路にぶん投げたりするからでしょ。
でも、機嫌が悪かったらそんぐらいするっしょ?
しょ?

へーへーへーへー、
先日も単車に乗ってたら、幅寄せしてきた車がいやがりまして。
車内の運転席と助手席の人見たら携帯いじって笑ってやがったんで、
信号待ちでわざわざ単車降りてドア蹴り飛ばしたら、
凍りついて何も言わねぇから、さらにムカついて、
サイドウィンドウ叩き割って
「ごめんなさいダロ?」
って言ってやりましたよ。

でも、よくよく考えてみたら蹴り飛ばして叩き割ったの助手席側で、
悪いのは運転手だったんだよなぁ。
物創る奴が手で殴ったらいかんなぁ。
またやっちまったなぁ。
って反省したりもするんですよ、俺。

でもって、何が言いたいかと言うとこれでも気ぃ使ってます。って事。
こっち側のルールーでね。

暴力のもつ威力だけは抜群でも容易に使用する事なく、
財力による権力に媚び諂って生きる気がありゃしない、
俺達みたいなのはね。

2007
6月下旬
神の国、日本こそが亜細亜全土を牽引し、
諸外国に対して民族の優秀性を示すのである。
その為には悪しきを武力を持って滅ぼし、
虐げられたる民を解放した後に指導する。
その指導者こそは、神の国である日本をおいて他に無い。

残念ながら、そんな思想は持ち合わせていません、俺。
日本人が優秀だとも、欧米人が正義だとも思いません。
歴史上の戦争を考えてみても正義と悪は時と場合、
立場によってかなり違う。
中学の頃、歴史のテストの解答欄に
「テメーは自分の眼で確かめてきたのか?」
って書いた事があったが、それは反抗期っていう甘酸っぱい感じのやつ。
人種差別なんてサラサラ流れる小川みたいにありゃしない、
パパママごめんね僕はヤンキー。

でさぁ、最近夜中のコンビニに中国だか韓国の人が働いてんだよ。
ソイツが日本に来て日が浅いからなのか店長みてーなのに、
よく怒られてんだ。
まー、ミスすりゃ怒られんのは何処の世界でも同じだが、
その店長みてーのが夜中だからって客(俺)がいんのに
怒鳴りつけてんだよね。

「チェ君!違うだろ!!そのコーヒーはこっち!」
「チェ君!何で電子レンジにチーズが入ってるの!!」
「チェ君!お客様には「です」「ます」を
 使いなさい!!」


こんなのが、そのコンビニ行くたんびに聞こえてくる。
しかし、チェ君はいくら怒られても何も言い返さない。
というよりも、いまいち日本語理解して無い。
客がレジで金払っても
「56円」とか「ちょうど」とかしか言わない。
そして店長みてーのに怒られる。

まー、店長みてーなのの気持ちも解らんでもないが、
いかにも自分を誇示する為にわざわざ人前で
怒鳴り付けるところが気分が悪い。
無意識にチェ君の味方をしたくなってしまう。
特にチェ君が、品出ししながら口ずさんでた鼻歌が、
「プロジェクトA」のテーマ曲だった夜は
心の中でハミングしてやった、俺。

ある夜、いつものようにそのコンビニに入り、適度に迷子。
コーヒー数本を持ってレジに行くと、そこにチェ君。
と横に店長みてーなの。
バーコードを読み取り発する言葉「785円」。
とっさに険しい表情、店長みてーなの。
俺が、785円ぴったり出したのを見て、チェ君。
「ちょうどいいです」
思わず言っちまった、俺。
『何が?』
三秒の沈黙、睨む店長みてーなの。
焦って言葉を発っした、チェ君。
「・・・あなたが」

我慢しきれず、怒鳴りつけだした店長みてーなの。
馬鹿馬鹿しくて何も言う気にならなかったが、
チェ君はきっと革命でも起こしてくれるでしょう。

あぁ、いや、まぁ、そんな話はどうでも良かったんだ、俺。
ツアーがな、始まろうってのに少しばかり出掛けてきます。
帰って来れなかったらツアー中止って事で。
もし、迷子になったら鼻歌で「プロジェクトA」のテーマを口ずさむぜ。
そんじゃー、ちょっくらパリってきます。





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