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知らない人は、某かの事象に対して「有り得ない事」と言います。
知っている人にとっては、それが「なんて事のない日常」だったりします。
言い換えると「有り得ない事」は「奇跡」とも言えますが、
「奇跡」は字が示す通りならば、奇の跡なわけで、
事が起って初めて「奇跡」となるはずだ。
ところが、初めての時は「奇跡」と感じても、
常にその事を目の当たりにしていれば「奇跡」も「日常」に変わります。
無知に感謝するか、見逃してしまっている自分を責めるべきかは、その人次第です。
今のこの瞬間にこの場所に存在する事。
それを幸福に感じられず、残念と捉える人達にとっては、奇跡だろうか?
そんなお話。

「NIGHT LINE」も無事に死者も出る事無く終了し、
展示会と言う名のただの呑み会だったんじゃねぇかって思ったりもしたが、俺。
スケボーやったり単車転がしたりって自由すぎる時間だった。
テメ−で考えてみても、まぁよくヤルもんだってぐれぇに物を創ってるが、
忘れちゃいけないのが終わった後の自分自身に対する締め。
イベントやら展示会やらの後には基本的に単車で走りに行くのが締めとなる、俺。
今回も変わらず単車でナイトラインを描いてやろうと決めていた。
展示会最終日の夜にパラサイトのセ−ゴがクレイジーチョッパーで表れたので、
ちょいと一緒に流しに行くかってな具合で走り出した。

誰かと走りに行く時に大層な理由とか目的なんていらない。
並んで走って気持ち良けりゃそれでいいだけ。
その夜の目的も、お台場のマックでポテトを喰うってだけの事。
ただ、最短ルートを選ばずに遠回りしながら気持ちのいいルートを通って。
ゴールデンウィーク真只中の深夜という事もあってか、
交通量はかなり少なく軽快な走りを楽しめる。
湾岸線でシングルピストンの限界にチャレンジしてやろうとブッ飛ばし、
少々物足りなさを感じながら早々とお台場に到着。

ゴールデンウィークの嫌な点ってのはこういった時に訪れる。
普段の行動の中でも休日って意識がある訳もなく動いてるのに
ゴールデンウィークとかって話になるとスポット的に人が溢れ出す。
特にお台場みてーな場所になるとカップルの逢い引き率は激増だ。
ゴールデンウィークの深夜のお台場なんてヤロー二人で行くもんじゃない。

単純に湾岸線を流すのを考えてお台場のマックを選んだが、
これなら浦安の釣り舟屋でも見に行った方が良かったんじゃねぇか。
ってぐらいに二人して惨めな気持ちで、すでに意気消沈。
案の定、マックの店内はカップルが溢れ、深夜というのにレジも混み合っている。
ただでさえ惨めな気分にイラつきが加算され勝手な怒りに変わり、
ゲトー出身の俺達の心のドグサレ具合は、そーとーなもんだった。
こんな時、大抵その怒りは運の悪いレジの店員に向けられる。

眼前のヤツがオーダーを終え自分がオーダーする番になった時、
ファーストフード店では、ほとんどの人がそうするであろう行為メニューを見る。
フリをしながら、どんなネタでこのドグサレを吐いてやろうかと考える、俺。
無茶なネタの一つでもって勢いでメニューから顔を上げ、
レジの店員の胸に付けられたネームプレートの名前を見た。
その時。
目の前に奇跡が!!


「マリア・テレサ」

聖母だ・・・。
お台場のマックに聖母が降臨した・・・・・・。


あまりの奇跡に息を呑み、言葉が出なかった、俺。
なんの無茶なネタも出さずにドグサレた心が洗われるかの様だった。

「奇跡」は奇跡と思って始めて奇跡と成り得る。
「有り得ない」って心を持ってると、日常的な出来事さえも奇跡へと「成り得る」。
無知に感謝するか、見逃してしまっている自分を責めるべきかは、その人次第です。
ただ・・・。
聖母が一般的に知られているような白人女性の容姿ではなく、
整形途中の黒人マイケル・ジャクソンみてーな容姿だって知って、
それを幸福に感じられず、残念と捉える人達にとっては、奇跡だろうか?
損なお話。


あっ、ヤベ−ヤベ−、俺。
そろそろ時間が足りねーや。
あと何時間か後にひとっ飛びドイツまで行ってくらぁ。
そんじゃー、しばらく日本をよろしく。



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