Episode in Lily Dust

 「RAIN DOG」を製作した際のLoud Style Designの持つ様式美は、宗教美術やゴシックでありながらも不良性を感じさせる武骨で強烈な造型で構成されている点であるのに対して「Lily Dust」で高蝶が表現しようとしていたのは、同じ様式美をベースとしながらも華麗さと共に儚さを感じさせる造型で、整合性のとれたデザインだった。
ブランドとしての表現域を広げる創造は、鏡面を活かしシャープでエッジの効いた造型・細部に流れを生む細かなラインや陰影から感じ取る事ができる。
 「Lily Dust」は、高蝶の表現者としての繊細な一面を映し出したのと同時にブランドとしてのレベルを格段に向上させている。
それは身に着けた時のバランスの美しさが物語っているが、特筆するとすれば、分解やサイズ調整が可能なウオレットチェーンや連結箇所が回転駆動するブレスレットを異素材を使用せずに完成させている点であろう。
 シルバーという素材に対するこだわりが創り出したアイデアと技術の冴えは、静かに燃え上がり「Lily Dust」というストーリーを完成させていく。