Episode in Lily Dust

 百合が砕け散る様。
咲き誇り枯れて逝く花に、栄華と滅亡をなぞらえた「暗流」を核とし、そこに流れや連鎖・波紋といった事象や現象を重ね合わせたストーリーは、それまでの型からの逸脱を目的として掲げられ、ブランドとしての広がりを明確に示している。
 カットアウトした銀板を張り合わせる事で見える面の美しさ、金属を曲げた時に生まれる曲線、ラインを削り込むような直線的なテクニック。どれもが「RAIN DOG」の製作では多用されなかった技術である。
 2002年に8月の製作スタート時に高蝶の中には「RAIN DOG」との違いを如何に表現するか?という課題が在った。
一つのブランドの中で明確にスタイルの違いを表現しつつも、共通した様式美・一貫性を持たせる難しさは幾度となく製作をストップさせたという。