CHAPTER:05
セカンドスタイルの完結からの心境:


武藤 展示会を終えてみての心境ってどうなんです。

高蝶 展示会を終えてもう一カ月くらいじゃないですか、今。
いつも展示会をやって、自分の中で、全部セッティングが終わって、一人でそれを見て、納得するまでもう一回手直しして、
自分の中で、ああ、出し切ったなとなったら、翌日から違う作業、次のことを考えたりするんですけど。
やっぱり今回もそうだったんですけれど、今までより、セカンドスタイル完結、というものがあったのか、
今までより充足感というか満足感が高かったんですよね、自分の中で。


武藤 月並みに聞きますけれども、なぜ高かったんですか。

高蝶 出し切った感が大きかったんじゃないですかね。

武藤 僕が聞いているのは、出し切った感がなぜ大きかったんですか。

高蝶 それはもうやっぱり、あれじゃないですか。前回止めたせいだと思うんですね。

武藤 止めた?

高蝶 前回、セカンドスタイル「Lily Dust」を完結させる。
でも1回じゃ出し切れないから2回に分けようとなって、
1回目の、前回のが終わった後も、ずーっとこう、ああ次を早くやりたいなという燻っている感があるわけですよね。
やっぱりあそこが甘かったな、ここを次までに絶対こうしてやろうとか、あるわけじゃないですか。
そこをこう、変な話、半年間引っ張って引っ張って引っ張って、ようやくバンと出し切った。そこですよね。


武藤 それで出し切って一カ月くらい経つわけじゃないですか。一カ月くらい経ったら、生き物だから、次の欲望が生まれるわけですよ。



高蝶 そうですね。展示会初日、もうセッティングが終わった時点で、自分の中で次のことを考えていて、
次はこういうことをやりたいというものが浮かんでいて、
ただまあ、今回、どっちかといったら写真展だったりとかレデンプションという
新しくインテリアのものだったりキャンドルだったりを始めたじゃないですか。
写真展の方も同名でテーマは贖罪だったんですけれど、
レデンプションって言葉には失ったものを取り戻すとか引き戻すとかという意味合いがあって、
今ではビンテージとかアンティークといってなくなっちゃった物を自分たちがリ・プロダクトしていく、そういう文化を
という意味で付けたんですけれど。
俺の中で、バーッと広げて、変な話ですけど、風呂敷を広げたという言い方が正しいかどうかわからないですけれど、
じゃあ中身をどこから入れていこうかなみたいなものはあるんですよ。
やりたいことはいっぱいあるけど、次回に向けて中身をどこから入れていこうかなみたいなものはあるんですよね。
展示会が終わってから、止めていた仕事があったり雑誌の仕事があったりしたせいもあるんですけれど、
バーッと4月はもう慌ただしく過ぎていって仕事していて、5月1日にはダー社長の結婚式があって。


武藤 大イベントが(笑)

高蝶 そこから体調を崩していたんですけど。
体調を崩していながら、もう寝られないので、かといって転がって唸っていてもしょうがないので、
どうしようかな、と頭の中で次のこととかいろいろ考えていて、なんかこう、考えを固めるのに、
結構夜、いろいろなところをさすらっているんですね。
ちょっと一人でさすらう時間というのがほしくなって。今までとの変化ってそこですかね。


武藤 ふーん。ではうちにも来てください(笑)。

高蝶 いや、あれなんですよ。さすらい方が、今はその、昨日は門井さんのところに寄ってみようとかですけれど、
よし、今日は六本木に行こう、六本木に行って、六本木でさすらっている。夜中ずーっと。
今日は秋葉原に行こう。秋葉原はまた夜中は何もないんですよね。


武藤 ふーん。

高蝶 今日は新宿に行こう、とかというのをやったりしていますね。
それって、10代の頃の自分かな、あの感覚をもう一回、ちょっと欲しいのかなという気がしますけど。


武藤 なんか、俺はちょっと違うような気がするけどな。わかる気もする。

高蝶 15〜16の頃、単車をかっぱらってきて、
じゃあ、別に六本木に何があるとか知らねえけれど、
六本木でも行ってみたら何かいいことあるんじゃないかという感じで行くじゃないですか。
そうしているうちに何か面白そうなところ見つけてとか、面白そうな奴と会ってとかというのがやっぱりあったんですよね。


武藤 野良犬ですよね。

高蝶 ですね。何かあの感覚がほしいのかな。それって、セカンドスタイル完結となったから、寂しさもあってなのかな。

武藤 ああ、そうかもしれませんね。

高蝶 うん。の、せいなのかもしれない、と。
この何日間かさまよっていて、ようやくそこへ何か答えが出てきたというか。
なんで俺こんなことをしているんだろうというものがやっぱりあったんですよね。
あったんですけど、ああ、やっぱりどこかしらに寂しさみたいなものがあるんだなあ。


武藤 何か若い頃って、たぶんそこが主軸だとは思うんですけど、若い頃と違うところって、
やっぱりもうちょっと、何だ、次のネタ、テーマを見つけるという、何かその、意地汚いじゃないけども、
っていう部分が絶対存在しているじゃないですか。

高蝶 どこかに行けば何かが待っているだろうみたいな感覚ですか、それって。

武藤 まあ、まあ、それに近いですね。
こうやって俺がここに来ているのも、まあ何かあるかな、みたいなところで来ているわけですけど。

高蝶 こう、久々ですかね。
自分の行動がいまいち自分で理解できていないという。
いや、違うな、理解するのに時間がかかった、というところですかね。
「ああ、俺、寂しいんだ」みたいな。なんか、事を成し遂げるって、同時に喪失感を伴うものなのかな。
すこしだけ空虚な時間に漂ってるんですよ今は。


EXTRA CHAPTER:




+ top +


(C)HEAT Co,. Ltd. ALL RIGHTS RESERVED.
掲載商品画像等の無断使用を禁止する