CHAPTER:03
「Lily Dust」そのスタイル名の由来と発展:


武藤 「Lily Dust」で、俺がつながらなかった、まあ「RAIN DOG」から「Lily Dust」があって、
俺の中でつながらなったのは、Lily とDustという言葉なんですよ。

高蝶 ああ。「Lily Dust」の一番最初の着想点というのがあって、パリに行った時だったんですよね。
その当時にブランドをいわゆる3部構成にしたい、そのブランドの中で3部構成でやりたいというのはあったんですけど、
最初の「RAIN DOG」というのはパッと出てきたんですよ。
「GET IN THE RING」というのもすでに決まっていたんですよ。最後はそこにいこうと。
ただ、中間点は何にしようというのがあったんですよ。
一番最初「RAIN DOG」要はL,S,Dをスタートさせて展示会をパリで初めてやって、
それでカフェで通りを見ながらパーッと、こう、コーヒー飲んでいて、サラサラッとデザイン画なんかを描いたりしながら、
さあどうしようかな、一体何にしようと思った時に「RAIN DOG」のもともとの着想って、
トム・ウェイツだったりブランキー・ジェット・シティだったりの曲から発想、
着想していて「GET IN THE RING」はガンズ・アンド・ローゼズなんですよね。
やっぱり音楽からがいいかなと思ったんですけれど、ただ、当てはまる物がなかなかなくて、
俺の中では、ジギーの「暗流」という曲があって、
イメージとして、伝えていきたいのはこの曲で書かれている詞みたいなことなんだけれども。
それを暗流という言葉でやるというのは違うなと思ったんですよね。
言葉の響きだったりとか受ける印象みたいなものが違うな、というのがあったのと、
もう一つは、俺としてはワールドワイドにというか、日本だけではなくて世界でやっていこうと思っていたので、
通用しやすい英語で表現したい、というのがあった時に、オリジナルの造語を作りたいと思ったんですよ。
ただ、英語も完璧じゃない人間が、造語を作るって結構難しいじゃないですか。
造語というか、無い言葉、無い言葉なんだけど響き的に初めて聞いた気がしないというか。
それで考えていて、一体何が描きたいのかな、というところを考えていて、
やっぱりパリにいて、シルバーアクセサリーの業界で、クロスのモチーフ、スカルのモチーフって多くあるけれども、
百合モチーフみたいなのってのもすごい多いんですね。


武藤 多いですね。

高蝶 いわゆるゴシックだったりとかアール・ヌーボーとか、そういったもののなかにも出てくるけど、
じゃあ元は源流は一体どこからきているか。
百合の紋章というものを、百合をじゃあ、あの紋章を見て百合だというふうに、
みんな基本的に百合の紋章を見て百合だなこれ、というふうに思うけれども、あれを印象づけたのは一体誰だ?
あれって結局百合を、じゃあ横から見ている図じゃないですか。
こういうふうに花びらが、カサブランカとかでもそうですけど。
あれを印象づけたのは一体何だ、というふうになっていった時に、
宗教的なこととか、一番代表的なところを頭の中で探っていったんですよね。
ちょうどパリにいて、フランスとか、要は王族という部分に頭がいって、いろいろなものがそこで接続されたというか、
宗教的なものだったりとか宗教戦争然り、マリアがその要は、
特に白い百合、マリアの清潔さ、清純さを表すモチーフだったりとか、というものがいろいろなものが接続されていって、
Lilyというのが「RAIN DOG」とも「GET IN THE RING」とも言葉的にかけ離れているし、
全く別軸と判り易い。でもじゃあそれをどうしたいのか、どうなっていく様というものを描きたいのかという時に、
やっぱり、そうやって栄華を、いわゆる花が咲くということは一つの栄華だととらえられていて、
その栄華が砕け散る、いずれ散るわけじゃないですか。
特にジギーの「暗流」という曲はそういったことが詞で書かれているんですんけど……。


武藤 ふーん。

高蝶 そこを考えて、砕け散って一体何になっていくのかなとなった時に、
人も死んで骨になって、最終的に土に還るというけれども、そうやって沈んでいく感じではなくて、
花だし、もっとサーッと消えていくような感じで、塵という言葉が頭の中に浮かんで、
それで「Lily Dust」というふうにした時に、
その言葉の響きとか、自分のテーマとかとも凄くつながるし、
言葉の響き的になんかぴったりだなというイメージをそこで得たんですよね。


武藤 散ったんですか。

高蝶 ああ、散りましたね。
あの、それで一体何をやろうみたいな話になるわけじゃないですか。
そのイメージに対して。思ったのは、Lily Dustって、要するに終わったということだよね、という。
終わったということは、じゃあその終わりを描こうみたいな感じにイメージしたんですよ。一番最初、Lily Dust……。


武藤 終わりをかこう、描こう?

高蝶 描こう、ですね。

武藤 描こう。はいはい。

高蝶 と思った時に、Lily Dust、アイテム名もLily Dustっていうクロスのネックレスを創ったんですけれど、
要はその百合が砕け散って、終わりという意味で磔の十字ですよね。
ある意味で宗教的にも、まあ、宗教的にそれが尊いものでもあるけれども、キリストのことがあるから、
でも同時に死も意味しているし。
そういった意味で、要は百合のラインを、あの王族の紋章にあるような百合のラインを組み合わせたクロスを描こう。


武藤 あー、なるほどなるほど。

高蝶 ということでできあがったのがLily Dustなんですよね。

武藤 ギロチンじゃないんですね。

高蝶 ギロチンじゃなく磔ですね。やっぱりその、「暗流」というのがテーマになっていて、
じゃあすごい華やかな、ベルサイユ宮殿みたいなものも、じゃあ、その裏側。
いわゆる暗流では、ものすごい残酷なことが行われているわけじゃないですか、それを得るために。
さっきの両極の話ですよね。
ベルサイユ宮殿を見に来て、全て観光客じゃないですけど、観光客の人とか、
あー凄いわね、華やかだわね、みたいな、感じの気持ちになるわけですよ、豪華だわねって。
でもじゃあ、それを得るために、というか構築するために、じゃあ潰されたものってどれだけあるんだという。
そっちの歴史もあるわけですよね。
なんか、そういう部分を描いていきたい。そのためにはどうしたらいいかなと思った時に、
砕け散った様を一番最初に描いたのであれば、そこへの成長過程というか、花だったりとか、
それの成長過程で植物だったりとか、それに必要な水の流れだったりとかという、そういうものを描いていこう、と。
そこいら辺は「RAIN DOG」には全くない部分だったので、そこをどう描ききれるかの勝負だなというのはありましたね。




CHAPTER:04




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