2006
7月上旬


この写真について少しばかり説明しなければならない。
その日、展示会の為ムシ暑い in Paris、俺。
夜食に入ったレストランはコルシカ料理。

コルシカ。
地中海に浮ぶフランス領の島。
自然が多くイタリアに近い気候が成せる環境。
暗黒の時代を過ごし、ムッソリーニの言う事を聞かず、
コルシカマフィアは独特の習慣と掟によって形成される。
あぁ、美しきコルシカ。
浅黒い肌の女が妖艶な色香でしなだれかかる土地。
あぁ、麗しのコルシカ。
薄暗い店内の証明はいやがおうにもムード満点で、
30代も後半であろう女店主は慣れた手つきでワインを注ぐ。
裏路地の店に似つかわしくないその美しさが、
より一層コルシカの情景を思わせる。
料理の一品目はスープだった。
魚貝をふんだんに使った濃厚な味わい、
歴史的にコルシカの人は魚貝をあまり使用しないと聞いた事があるが、
そんな事が間違いであると思わせる程の素晴らしさ。
あぁ、美味なるコルシカ。
この感動は俺の祖父がコルシカ人だという事に
関係してるのかもしれない。

という、どうでもいいウソを付きたくなる程に
次の料理への期待は高まる。
丁度、その時に後のテーブルで他の外国人の方達が席についた。
6人ぐらいのグループだが、肌の違いから見て全員が
フランス人ではなさそうだ。
さて、ここで冒頭の写真の鴨料理が運ばれてきた。
給仕(ウェイター)は何やらフランス語で料理の説明をするが、
百聞は一口にしかず。
鴨肉にナイフを入れようとした、
その時!!
俺の脳裏に幼少の頃の記憶が蘇る。

そう、あれは誰に言われた事だったか、それは思い出せない。
しかし、何と言われたかはハッキリ思い出せる。

「人に掛ける迷惑で目に映る物は見なければ、
鼻に臭う物は鼻をつまめばよいが、
耳に入る音は振動によるので耳をふさいでも
迷惑になるので騒がしくするのはヤメなさい」


しかし、しかし今まさに俺が迷惑しているのは
臭い!!
後のテーブルの誰かからやって来る
臭い!!
経験した事のある人なら解ると思うが、
外国人特有の体臭!!
ぐっ、ぐぅ…耐えろ、耐えるのだ、俺。
鼻だ、鼻をつまんで鴨を喰らうのだ、俺。

うぅぅおおおおぉぉ、味がしねぇぇぇぇぇ!!
その前に片手じゃ喰いづれぇぇぇぇ!!
一気だ、一気に喰っちまえば解らねぇ。
3.
2.1 『ハイッ』
ぬぅぉぉぉぉ!!ギョーザくせぇぇぇ!!


苦悶に歪む俺の表情を際したのか、
スペシャルサービスとしてハーブ酒を出してきた給仕。
しかし、時すでに遅し!!
いかなるハーブであろうとも臭いはギョーザ in 俺。
ハーブ酒を注ぎながら、たわいもない会話をして笑顔でごまかす給仕。

給仕「ボナペティ(フランス語)は日本語で何て言うの?」
ムカつきまかせにこう言った、俺、
『アン!?召しやがれ!!』
給仕「オーッ!!メシヤガレ」



もう、どうでもいい事だ。
さっさとここを出て、何処か空気のいい所へ。
そしてこう思う。

『夜食はギョーザだった』

あぁ、ギョーザのコルシカ。

2006
7月中旬
あのさぁ、別にいいんだけどちょっと聞いてみな。
よく地震が来るからとか
災害に備えて〜とか言うのを耳にしますが、俺。
何かしてます?
俺?俺かい、スゲーよ色々してるよ。
何?どーせ何もしてねーとか思ったかい。
いやーチゲーね。スゲーしてるね。
下痢の時に笑える練習とかしてるぜ!!

んっ?
あっ?
おっ?
何か間違ってる?そう言いたい?
カンパン用意したり、非常用の水を確保したり、
防災頭巾をケツに敷いたり、机の下に隠れる練習しろっての?

いや〜チゲーなーぁ。

やっぱりねぇ、どんだけ過酷な状況に堪えたかが
緊急時には必要だと思うんだよ。
つまり、何日間寝ないで過ごしたとか、
水無しでどんだけ生きれたとか、
監禁されて何時間ボコされたとか、
何千キロも一人で運転させられるとかねぇ、俺。

それを思えば、日常に襲ってくる下痢に対して
ニッコリ笑ってハイピースぐらいする気になんだろ?

ほっ?
へっ?
はっ?
災害時に腹の痛みとか関係ネーって?

じゃあ、それで。

……。


上等だよ!!
もし災害でガレキの山に閉じ込められたら、俺。
メンドクセーから思いっきし寝てやるね。
今まで寝てない分まで寝るね。
何かの映画のスティーブン・セガールとか、
「死霊のはらわた3」のラストの主人公ぐらいに
ヒゲが3m50cmぐらいになるまで寝るね。
もう永久に起きないぐらいの眠りにつくね。
永眠だね。

あーーーーーーーーーーーーっ永眠って「死」か、俺。

じゃあ、それで。
無理なら氷眠でコールドスリープって事で、俺。

2006
7月下旬
でもさぁ、どうでもいいんだけどちょっと聞いてみな。
よく夏場に幽霊とかお化けがどうとか
心霊写真が温泉旅行とか言うのを耳にしますが、俺。
何かありました?
俺?俺かい、スゲーよ色々あるよ。
何?どーせ下らねー活だと思うかい。
いやチゲーね。笑えないくらいあったね。
便所からオジイちゃんが出てたぜ!!

なっ?
ぬっ?
にっ?
そんなワケねーだろ?そう言いたい?
目の錯覚だったり、気の迷いだったり、
実は見間違いだったとか、ウソ言ってるとでも思ってらっしゃる?

いや〜チゲーなーぁ。

ありゃあ忘れもしない「旧REFUSE」で店を始めて一年目の夏の夜。
夜中に銀彫りの修行に勤しむ、俺。
ROCKのリズムに乗せて響くうめき声。
実は気づかずにデスメタルのCDを再生してたんじゃねーかと
思うような
デス声。
何故だ?
CDを止める。まだ響いてくる
デス声。
店の裏口の方から……。
当然だ。裏口を開ける。
日目に入ってくるのは暗闇の中の便所。
そこから・・・・・・・・・・・・・・

出てるオジイちゃん血まみれ!!

いや、ちっとも笑える話じゃなくて、
夏の暑さに堪えられなくなった2Fに住んでたオジイちゃん。
身寄りも無く、電話も持ってないので助けも呼べずに
苦しんでました。
まさに
デス声で。

いや、だから笑えネーって、俺。
そんな事もあるのが夏。
孤独な老人の死、明日は我が身ってね。
なっ笑えネーだろ?

2006
7月末日
スゲー海が見たい。
でも忙しくて見にも行けない。
でも海が見たい。
むしろ海で泳ぎたい。
彫金強化合宿とかいう名目で、
海とか湖とか行ってキャンプファイヤーとかしたい。
川でバーベキューとかスイカ喰ったりとかしたい。

うっひょ〜スッゲー楽しそー、
俺!!




まぁ、無理だけどね。





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