2005
2月上旬
冬の寒さはどこからどこまで?
そんな事ぁ俺ぁ知らねぇ。
だいたい、寒いとか暑いとかグダグダぬかしてるヒマがあったら
皮膚に塩でも塗って鍛えるとか、全身の毛穴にセメダインつめて汗を
止めるとか、方法は色々あるだろう!!
お前は一度でもそういった事をやってみたのか?
試してみてから寒いとか暑いとか言ってんのか?
川に住んでるハゼは冬の寒い川から釣り上げられたかと思ったら
衣をつけられ天ぷら油で熱死!!
凄まじい生き方してんだよぉ?
わかってる!?

ちょっと遠いからメンドクセーなとか、
夜も遅いし、酒飲んじゃったからとか、
理由つけて人を迎えに来ない人。

ヤダネェーーー。

ネェ、RATのオッサン!!

人が静岡まで行ってんだから名古屋からチョロッと250kmぐらい
車走らせて迎えに来るぐらい時速300kmのスピードなら1時間も
かかんねぇじゃん。
はぁ〜ヤダヤダ、常識ぶって「危ねぇだろ」とか「無理だろ」とか
言っちゃう人(RAT GJO)。そういうの何て言うか知ってます?


『言い訳』


大人の考えとでも言いたいんでしょうが、
いい歳こいて言い訳すんなっつんだよ。

こっちは帰りの新幹線に間に合わなくて
どうしてくれようかって時によぉ。
ヤダねぇ〜勢いの無い人って。
俺なんか勢い余って夏のツアーのTシャツのデザインまで
終わらせちまったよ。ツアーの予定すら決定してねぇってのによぉ。

もぉ〜ヤダヤダ、良識ぶって「大人しくしてろ」とか「無理すんな」とか
言っちゃう人(RAT GJO)。どうでもいいけどこうやって言ってるの何て言うか知ってます?


『愚痴』


あぁ〜ヤダヤダ。

2005
2月中〜末日分
え〜、俺。

誠に勝手ながらしばらく日本を離れる事となりましたとさ。
何故?って。そんな事どうでもいいだろ気にすんな。
年明け早々、問題起こしたので国外逃亡。
という事にしてもきっと誰も不思議に思われないだろうし、
それでもいいだろ。
もう日本にも飽きたし、メキシコ辺りで人拐いとかやって
テキーラ片手にナチョハット。
ちょうど、俺の兄貴がメキシコでバーを経営してるし、
そこでシルバーアクセでもコツコツ売ってくのもいいかと思ってな。
まぁ、そんなワケでこれからブランド名も
『Loud Style Design -international-』
ってコトになるんで皆さん
よろしく!!
シルバーと一緒にメキシコの熱い風をって事で、俺。






ウソだけど。


だって俺。サバの塩焼きとか大好きだし、縦回転の回転寿司の店を
発見する夢も果たしてねぇし、ようやく住民票が発行されて半年しか
経ってねぇしよ。
つまりだ!!
日本国民としてしっかり認めてもらってまだ6ヶ月ぐれーで
この国とはオサラバできねぇって事ですな。
そんなワケで(どんなワケ?)
ちょっくら西海岸まで行ってきます。
仕事という名のバカンスなのか?
そいつは一緒に行く男だけが知っている!!
誰と一緒かって?

『デシ』またかよ……。

そんなこんなでどんなあんな
日本を離れている間に2003年末にあったデシ君との悲しい想い出を
書き残しておきます。ヒマな人はコレを読んで、いかに自分がヒマ人かを
自覚しましょう。世の中には知らんでいい事もあります。
それでは行ってまいります
&デシ。


2003年。
以前からREFUSEのクズヤロー「潤」が俺に言っていた。
「亀戸のフィリピン・パブにアヴリル・ラビィーンがいるんですよ!!」

嘘だ!!
直感でそう感じた俺はアヴリル・ラビィーンがフィリピーナじゃない事を「潤」にしつこいくらい教えてやったのだが、
「いや、色が浅黒いアヴリルですよ!!マジ似てますって」
どうしたのであろうか?「潤」のメガネはそんなに曇っているのか?
いや、それ以前に「潤」はフィリピン・パブなんかに通ってんのか!?
アヴリルは白人で浅黒かったら違うんじゃないのか?
「Ske8(エイト)boi」を「Ske8(ハチ)boi」と読んだオッサンは日本全土に何人くらいいるのか?
頭の中が謎でいっぱいになった俺。
そんな謎を解明する為に俺はデシ&潤と共にフィリピン・パブへと
行く事になった。

REFUSEが存在する「大島」って街は本当にゴミの街としか言い表わしようがない街だが、その「大島」とさほど変わらぬ街が「亀戸」。
大島のすぐ隣街だ。
その「亀戸」のメインストリートから少し離れ、さびれた飲み屋が
立ち並ぶ一角にその店はあった。
その店の存在を何年も前から知っていたが、入店した事はなかった俺。

『フィリピン・パブ
    New ドモン』

店に入るだけで、かなりの気合いを要する入口の前で俺とデシは
まるで初めてエロ本を購入する小学生のようにモジモジとしていた。
だが、潤はそんな俺たちを全く意に介さず意気揚々と店頭に貼り出された女の子(当然フィリピーナ)の写真から指名する娘を選んで、
さっそうと店に入っていく。さびれた街の場末のフィリピン・パブらしく
古臭い地下への階段を振りながら
「この店『New ドモン』って何年前から
『New』なんだよ?少しも新しくねぇじゃねぇか!!」
不安と緊張からか、デシとそんなたわいもない会話をする俺。
少しだけ「やっぱり帰ろうかな…」というデシの声が聞こえた気がした。
そんな俺達の心境を知ってか知らずか
「いらっしゃいませぇ、何名様ですか?」
と、これまた場末のパブにふさわしいオッサンが満面の笑顔で現れた。
人数や指名する娘の名を余裕綽々で「潤」が告げる。
そんな「潤」を見ながら『こいつは一体普段どんな遊びをしてるんだ?』
たくましく見えてしまうぐらいに堂々とした、
弟のように可愛がってきた男の成長ぶりを祝っていいんだか
嘆いた方がいいのか解らなくなっていた俺。
そこへ黒いスラックスに白いシャツ、蝶ネクタイを締め、スキンヘッドかただのハゲか皆目見当がつかないベタないでたちのオッサンが現れ
俺達を客席へとエスコートする。
そこには、俺がまだ見た事のない新世界が広がっていた!!

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
そんな話があるが、虎の子供ってそんなに欲しい?
エサ代とか大変そうじゃん。ちょっとエサやらなかったら散歩とかしてる時に他の家のチワワとか丸かじリにしちゃうよ。
飼うんじゃなくても毛皮とるにしても子供じゃ小さくねぇ?

…スマン話がそれた。例え話ってやつだな俺。
そうフィリピンの「アヴリル・ラビィーン」は本当に存在するのかを
確かめる為に2003年末フィリピン・パブ「Newドモン」にやって来た俺。
しかし、入店前には「アヴリル・ラヴィーン」と「ビン・ラディン」の
違いを「潤」が知らないんじゃないかと思い始め、不安と緊張の真っただ中でハゲのオッサン(考え直したらありゃあ、ただのハゲだ)に
エスコートされるハメに。地下とはいえ意外に広い店内。
カラオケ用のステージも設備もしっかりしている。
そしてそこに広がる光景!!
当時、27年間の俺の生涯の中でも異例な程だった。
ゴミのような街で育ち、危ない街も、黒い街も、貧しい異国の街も、
カッコつけてナメくさった街も見てきた。
どこの街にも必ずオッサンがいた。
その街に合ったオッサン、合わないオッサン。
色とりどりよりどりみどり。
男である以上、俺もいずれはオッサンになる。
そんな時、
『こんなオッサンになりたくない!!』
と心から願うオッサンを散々見てきたが、
ココにはそんなオッサンしかいない!!
しなびた街の場末のフィリピン・パブ。
世の中は広い!!こんな間近でこんな光景が見れるなんて。
まるで
オッサン博覧会だ!
そして、そんなオッサンに絡むのは遥か異国の地からやって来た
浅黒いフィリピーナの方々。
そんな異様な新世界で席に着くと、なんとも口にし難い香りを放ちながら
いかんともし難いメイクのフィリピーナが数人、名札を着けて
やって来る。「アイリーン」「ジャネット」「ピンキー」「モニカ」
それぞれ名札にカタカナでそう書かれている。
その時、「潤」の隣に指名した女の子がやって来た。
こいつが、このフィリピーナが「アヴリル・ラヴィーン」なのか?
顔を覗き込む俺。


似てねぇ!!!!
思わずテーブルに置かれたおしぼりで「潤」のメガネを拭いてやった。
フィリピーナの名札を見る
「ニキ」
「ニキ」?名前もかすってすらいねぇ!!
こんな、こんな場所で1時間4,000円ポッキリ(ポッキリって何だ?)
飲み放題!?1時間もガマンできねぇーよ!!
デシは全く口を閉ざしてしまい、俺はひたすらタバコを吹かしていた。
しかし、神経症になるのを拒むかのように俺の口はオッサントーキング
マシーンとなり、どうしようもない話を始めた。

「『モニカ』、いいよねぇ〜君は吉川晃司の名曲みたいだよ」

「『ピンキー』はアレだよね。相棒はもちろん『ダイアン』でしょ。
2人揃ったらかなりの売れっ子だよ。丸井に並んでてもおかしくない」

「『ジャネット』この前はお兄さん大変だったねぇ〜。
ネバーランドは閉鎖されちゃうの?」

「『アイリーン』…お前のどこが『アイリーン』なんだよ!!
ナメんのもいい加減にしろ、コラァ!!
顔と名前が少しも合ってねぇだろうが!!」

人間、窮地に追い込まれるととんでもない力を発揮すると聞くが、
どうやら本当だったらしい俺。
だが、新世界の凄さはここからだった。
どうしようもないオッサントークと片言の日本語。
意志の疎通が全くなされていない空間で何故か存在する
カラオケ用のステージ。ネクタイハチマキを決めたオッサンが歌う
「杉 良太郎」が「和製ミック・ジャガー」に見えるぐらいに
キツイアルコールのウーロンハイ。
人生で初めての合コンのようにモジモジするデシ。
ひょっとしたら一生ここから出られないんじゃないかと思い始めた俺。
そこへ声をかけてくるのはフィリピーナ。
元気のいい声で(でも片言)
「カラオケ、カラオケ!!」
異様な盛り上がりに思わず吉川晃司を歌ってやろうかと
一瞬、頭の中で「恋を〜止めないでぇ〜♪」と流れたが
その時!!
店内に聞きなれたイントロが流れ始めた。
軽やかなリズム、忘れる事の出来ないリフ。
幾度となく聞いたあの曲!!

ZIGGY「GLORIA」

何故だ!?
誰だ!?
ステージには
フィリピーナ!!
当然歌うは
フィリピーナ!!
ついでに全員総立ち
フィリピーナ!!
ぬぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
何だこの盛り上がりとテンションは?
今までの人生でこんなに辛い「GLORIA」は味わった事がない俺!!



…世の中にはまだまだ知らない事があると知った俺&デシ。
同時に、世の中には全然知らないでいい事もあると知りましたとさ。
後日、「潤」に聞いたところ、あのフィリピン・パブでは「GLORIA」が
大人気だそうです。
機会があれば森重さんを一度連れていってみたいものだ。
そんな想い出話。
皆さん知らなくてもいい話だったでしょ?





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