2003
6月上旬
その日、俺は『旅』に出た。





旅っていいよねぇ〜旅だよ旅。
旅の一体どこがいいかって?…
知るかそんなモン!!
それよりも久々に単車でかっ飛ばすのは爽快な俺。

Oh,Baby Baby バカデカいエンジンふかせば♪
俺の頭の中でハツカネズミがダンスしだすんだよ♪
白いセンターライン Hey You Can Climb To Heaven Now♪
Yes,I'd Like I'm Ready Now♪

そんなノリで土曜の夜に出発。

Saturday night ! 俺の可愛いBaby〜♪
Saturday night ! お前を乗せてる〜♪

…って乗ってねぇ〜!!
可愛いBabyが乗ってねぇじゃねぇか!!
いやぁ〜世の中そんな簡単にいかないモンだね俺。
だいたいさぁ、旅を楽しもうと思ったら普通は計画に1ヶ月、
準備に2週間、3泊4日でオヤツは300円までだろ。なっ!!
お前、それが俺の場合、出発直前まで仕事して、
帰ってきたらそのまま打ち合わせに直行だよ、フザケンナよ!!
誰だよ、旅に出るとか決めたヤツ!?…俺だよ。
文句あんのかコラ!!
一人寂しく風になったロンリーチャップリンだ俺。
で〜〜〜何処で何してたかって?
そんな昔の事は忘れたよ。ただ、解っている事は帰ってきたら
髪が短くなってたって事。



要するに近所の美容室まで一人旅だったって事だな俺。

2003
6月中旬  HEALING HEAVEN
『好きな異性のタイプ』ってのを聞かれたりする事があったりする
今日この頃。
男だったら『おネーさん系』とか『ギャル系』とかウィ〜ノさんの好きな
『イエローキャブ系』とか『熟女』『人妻』『女子高生』『ナンパ』
『痴漢』『盗撮』とアダルトビデオの種類と同じか、
それ以上になる訳だが、最近よく耳にするのが『癒し系』。
女の好みだけじゃなく、とにかく何でも
『癒し系』。
今回はそんな『癒し系』にまつわるようなお話

その日、いつものように仕事に追われ、ゴミ溜のような工房で一人机で銀と無制限一本勝負に挑んでいた俺。
そんな『癒し』の足りない日も夜の10時を廻った頃だろうか…
カラカラカラっとな、とドアが開き

「お久しぶりです・ピロ
と一人『癒し系』おネーちゃんが入ってきた。

「あぁ…お久しぶりです」って誰だよおめぇ!?

「あたしの事覚えてます?先輩!!ピロ

「覚えてるよ、あたり前じゃん!」
全く覚えてねぇけどそう言っとこう。
誰だっけ?俺に向かって、先輩って…
『先輩』!?
なんていい響きなんだぁ!思えば普通のハイスクールライフを一年経たずにドロップアウトして、薄暗くドス黒い定時制でハイティーン・ブギを過した俺を…『先輩』と呼ぶのはポン中のラリポップな連中か、
学歴より補導歴のが凄いボンクラ共しかいなかった。
中学の時は、生意気な後輩の足をアキレス腱固めでへし折ってからというもの、誰も声掛けてくれなくなったし…。
そんな俺が、今の女の子に呼ばれている『先輩』と…『癒し系』だ!

人生捨てたモンじゃない。

一体全体、何処の誰だか覚えてねぇけど、まぁいいや。
成りゆき任せの会話で彼女が中学時代の後輩と判明。
でぇ〜〜〜何のようかと思いきや
「アクセサリーをオーダーしたいんですピロ
とか何とかかんとか。
しかし、突然の依頼で期日は一週間後!一体どうするのだろう俺。

続きは6月下旬で。

2003
6月下旬 HEALING NO HEAVEN
前回からの続き。

幸い、彼女のオーダーは大して難しいモノではなかったので、
期日に遅れることなく完成させた俺。彼女の携帯の番号をダイヤル。
オーダーの完成を告げると嬉しそうな声で、

「今から行ってもいいですかぁ・ピロ

…悪い訳ねぇだろ。疲れきった男にはこんな『癒し』が必要。
それから30分も経たずに彼女が工房にやって来た。
完成したアクセサリーを見て喜ぶ彼女。ハッハッハッハ、俺。
そして、彼女が言った

「あのぉ、裏に名前とか彫って
         もらってイイですかぁ?
ピロ
何言ってんだよ、いくらでも彫るよ。

「何て彫るの?」

すると彼女が言った

「ローマ字で『ヒデオ』ってピロ

OK,OK!

「ヒデオね、ローマ字でH.i.d.e…
            ヒデオ!?
あん!!

「彼氏の誕生日にプレゼントしようと思ってぇピロ

!!!!!!!…チッ!!

「先輩の作るのってカッコイイから
          彼氏に似合うと思ってぇ
ピロ

俺の作ってるモノかよ!!作ってるは!?

「イイですよねぇ、自分でアクセサリーとか
              作れるってぇ
ピロ

ア〜そう、ア〜そうですか。

「たまに遊び来てもイイですかぁ?ピロ

もう来んなよ!!
そんなこんなでロクに金も貰わず、彼女の携帯番号が書かれた紙を
破り捨てた俺。くそっ!何かが足りない。
『癒し』か!?いや違う!!
そう思った俺は、METALLICAの『St.Angar』をフルボリュームで
ガンガン流し、独り頭を振りながら『メタリアン』ポーズを決め、
再び銀との無制限一本勝負に挑むのであった。

男って悲しい生き物だぁ、しかし!俺は世間一般の『癒し』はいらぬ!
銀とノイズにまみれて修羅しゅしゅしゅ。
好みの女性のタイプが
『癒し系』!?フザケンナ!!
俺の好みの女性のタイプは
『病し系』

この物語はフィクションであって欲しかったです俺。

2003
6月末日
『梅雨』ですなぁ〜。嫌なモンです俺。
単車に乗るから雨は辛いしなぁ〜。
俺、梅干し嫌いだしなぁ〜。
誰が『梅雨』なんて名前にしたんだろ?
どっかの誰かだろうけど、そいつは多分俺とはよほど気が合わない
に違いない。
いくら『6月はRAINY BLUES』と言ったって、ちょっと辛ぇ季節を
皆さんいかがお過ごしだったでしょうか?
いや、別に教えてくんなくってもいいけど、何となく聞いてみた。
さぁ〜来月は更に辛ぇツアーが始まりやがる。

どっしゃ降りぃの雨がぁ〜♪
       通り過ぎるぅ頃ぉにはぁ〜♪




…タバコが値上がりしてやがる。




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